切削加工の品質を向上させつつリスクを軽減するためには、切削加工のメリットやデメリットを適切に把握していることが前提となります。このページでは、切削加工のメリット・デメリットについてまとめました。
切削加工は専用工具や切削加工機を用いて素材を削り、任意の形状を得るための加工です。そのため素材となる物質と工具、そして図面があればすぐに目的の製品を目指して加工を行えることが強みです。特に切削加工のプロセスが確立されているような製品の場合、突発的な追加受注などにもスムーズかつ低コストで対応できます。
この「スムーズさ」は、金型が必要な成形加工(射出成形など)と比較するとより顕著です。 成形加工では、製品を作る前に高額な金型を製作する必要があり、その完成までに数週間〜数ヶ月の期間と、数十万〜数百万円の初期費用がかかります。
対して切削加工は、そうした準備期間(リードタイム)やイニシャルコストを抑えられます。特に試作品や1個〜数百個程度の小ロット生産においては、他のどの加工法よりもコストと納期を圧縮できるのです。
NC機械(マシニングセンタやNCフライス盤など)を利用した切削加工では、NCプログラムを用いて高精度な加工が可能です。これにより、10ミクロンの公差管理や面粗度の調整が可能となり、複雑な形状でもプログラミングによって数値を制御することで、寸法精度が安定します。特に、1/1000台の精度での製作が可能で、別の部品との嵌合確認を目的とした加工にも適しています。
この高い寸法精度に加え、3Dプリンタのような積層痕や、成形品のような冷却時の収縮(ヒケ)が発生しないのも大きな特徴です。 そのため、表面が滑らかで美しく、ピストンや軸受のような精密な嵌合(かんごう)が求められる機能部品には、切削加工が適しています。
切削加工の特徴の一つは、自由な形状の加工ができることです。プレスや板金では材料の厚みに制限がありますが、切削加工では機械の加工範囲内で様々な材料の厚みに対応でき、複雑な形状にも加工可能です。また、5軸加工機のような多軸加工機を利用することで、X軸、Y軸、Z軸に加え、B軸、C軸を使った多方面からの加工が可能となり、金属や樹脂、木材など幅広い材質の加工にも対応できます。
また、形状だけでなく「仕様変更への対応」における自由度が高いのもメリットです。 金型成形の場合、設計変更を行うには金型の修正や作り直しが必要ですが、切削加工ならプログラムデータを修正するだけで済みます。 「まずは作ってみて、結果を見て微調整したい」といった開発段階の試行錯誤においても、この柔軟性が大きな武器となります。
切削加工の対象となる素材としては金属や樹脂、木材、鉱石など色々なものが考えられ、素材に対応する工具や加工機さえ用意できれば、理論上はさまざまな物質の切削加工が可能です。
加工できる材料の選択肢は、主要な加工法の中でも広いと言えます。 金属(アルミ、鉄、ステンレス、真鍮など)から樹脂全般まで対応できるのはもちろん、金型成形では扱いが難しい「難削材(チタンやインコネル)」や「高硬度材(焼き入れ鋼)」であっても、適切な工具を選定することで加工可能です。
職人が手作業で対応する切削加工は、どうしても大量生産には適していません。また、複数の職人が対応する場合、作業者によって品質の差が生じる恐れもあります。そのため切削加工は少量多品種の加工やサンプル製作に適した加工と言えるでしょう。
これは、1つずつ刃物で削り出す工程上、どうしても加工時間が長くなるためです。 数秒で成形できるプレス加工などに比べると生産効率は劣るため、数千個、数万個という単位になると、金型を作って大量生産した方が1個あたりの単価は安くなります。
また、削り取った部分はすべて「切粉(切りくず)」として廃棄されるため、材料の歩留まり(利用効率)の面でも、大量生産には不向きと言えます。
切削加工で高温の切削熱が発生します。適切な温度管理を心がけていても工具の破損や治具の劣化といったトラブルを完全に回避することは困難です。マシントラブルが起こると作業が進められなくなるため、常にトラブル対策を用意しておくことが大切です。
物理的に硬い素材を削るため、加工中は常に「熱」や「振動」との戦いになります。 これらが原因で、寸法が微妙に狂う「熱変位」や、加工面が荒れる「ビビリ」が起きるリスクがあります。 また、排出した切粉が機械内部で絡まると工具破損にも繋がるため、自動運転であっても常に適切な監視やメンテナンスが欠かせません。
切削加工は、職人のスキルによって機械よりも高精度な加工品質を追求できる一方で、職人の技術力がそのまま加工品質に直結してしまう側面もあります。
そのため、切削加工には適切な技術者の存在が必要ですが、優れた人材やスキルは一朝一夕で得られるものではありません。その結果、人材不足や技術継承といった課題が社会的に広がっています。
機械の自動化が進んでも、最終的な品質を決めるのは「人の技術」です。 特に、素材を機械にどう固定するかという「段取り」や、最適な工具・加工条件の選定には、高度な知識と経験が必要です。 同じ図面、同じ機械を使っても、熟練の技術者が担当するかどうかで、仕上がりの精度や加工時間に差が出るのが切削加工の特徴です。
切削加工会社を紹介する当メディア「切削アンサー」では、特定の要望に応えてくれる信頼できる加工会社を厳選して紹介しています。切削加工会社選びに困っている担当者はぜひ参考にしてください。
切削加工会社選びの手助けをする当サイト「切削アンサー」では、他にも切削加工の基本知識をまとめています。併せてご覧ください。
切削加工を行う会社は多くありますが、いざ問い合わせると特定の要望に対応できなかったり、不良品がでてコストがかさんだりすることも…。 当サイトを読めば、もう断られない切削加工会社が1分で見つかります。
依頼者の事情や加工品によって異なる、様々な要望に応えてくれる切削加工会社を紹介します。
なお、ここで紹介する会社は、信頼できる加工会社を選ぶ際に大前提として押さえておきたい、下記2つの規格を保有する会社の中から選定しています。
・品質担保の観点から、国際的な品質マネジメント規格「ISO9001」
・信用性の観点から、国際的な環境マネジメント規格「ISO14001」



※選定基準:2024年2月28日にGoogleにて「切削加工」「研削加工」と検索した際に表示される切削加工・研削加工に対応する会社123社を調査しました。(切削加工を依頼した際に、素材や精度により研削加工が必要になるケースもあることから、「研削加工」も含めて調査しています。)その中でも、ISO9001及びISO14001を取得する会社の中から、下記の基準でそれぞれ選定しています。
・守谷刃物研究所…難削材の加工に求められる切削加工・熱処理・研削加工を自社一貫で行う会社の中でも、難削材に対応した加工事例掲載が35件と最も多く(2024年3月調査時点)、難削材が使われやすい半導体製造装置や医療装置を得意としていると判断。
・キュリアス精機…ひと月あたりの生産可能個数が100万個以上と最も多く(2024年3月調査時点)、大量生産が求められる自動車部品の加工を得意としていると判断。
・プラスチック加工興和…樹脂の加工に対応する会社の中で、唯一樹脂の加工を専門とする会社と公式HPに記載されているため、プラスチック製品の加工を得意としていると判断。