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切削加工のドライ切削とは?

切削加工において、クーラントを使用しないドライ切削は、環境負荷低減やコスト削減への貢献が期待される加工方法です。ウェット切削とは異なり、作業環境の改善にも繋がる一方、工具寿命や加工精度への懸念もあります。本記事では、ドライ切削のメリットとデメリットを明確にし、加工を成功させるためのポイントを解説します。

目次

切削加工におけるドライ切削とは?ウェット切削との違い

クーラント不使用で環境とコストに貢献するドライ切削

ドライ切削とは、その名の通り、切削油(クーラント)を一切使用せずに金属などの材料を削る加工方法を指します。従来一般的であったウェット切削で用いられるクーラントが不要になるため、クーラント液の購入費用や管理コスト、そして使用後の廃液処理にかかる費用を根本から削減できる点が大きな特徴です。さらに、工場内にオイルミストが飛散しないことから、床や機械周りの油汚れがなくなり、清潔な作業環境の維持に貢献します。これは、作業者の健康を守ることにも繋がるため、コスト面だけでなく、環境負荷の低減や職場環境の改善といった多角的な利点を持つ加工方法として、その重要性が増しています。

ウェット切削との比較|冷却・潤滑・切りくず除去の違い

ウェット切削との比較

ウェット切削とドライ切削の最も大きな違いは、クーラントが担う役割の有無にあります。ウェット切削では、クーラントが加工点に供給されることで、主に3つの重要な役割を果たしていました。それは、摩擦熱を奪う「冷却作用」、工具と材料の摩耗を抑える「潤滑作用」、そして発生した切りくずを洗い流す「切りくず除去作用」です。一方、ドライ切削ではこれらの作用が全く得られません。そのため、工具と加工物は高温にさらされ、発生した切りくずは加工点に留まりやすくなります。この根本的な違いから、ドライ切削を成功させるには、ウェット切削とは全く異なるアプローチで、熱と切りくずをいかにコントロールするかが技術的な課題となるのです。

ドライ切削のメリットと実用上のデメリット

ドライ切削で期待されるメリット

ドライ切削を導入することで、いくつかのメリットが期待できます。直接的なメリットとして、クーラント液そのものや希釈水、添加剤、そして廃液の処理といった一連の費用が不要になることによるコスト削減が挙げられます。次に、環境への配慮も利点です。産業廃棄物である廃液の排出を抑えられるため、環境負荷の低減に繋がります。また、作業環境の改善効果も見込めます。オイルミストの発生が抑制され、工場内の空気を清浄に保ちやすく、床の油による転倒リスクなどを減らすことにも繋がるでしょう。さらに、製品に付着した油を洗浄する後工程が不要、もしくは簡略化できる場合があり、生産プロセス全体の効率化とリードタイム短縮にも貢献します。

知っておくべきドライ切削のデメリットと課題

多くのメリットが見込める一方で、ドライ切削には実用化にあたって克服すべきデメリットも存在します。まず、冷却作用がないため工具が常に高温にさらされ、摩耗が激しくなり寿命が短くなる傾向が見られます。これは工具コストの増加に繋がるかもしれません。また、工具や加工対象物が熱によって膨張し、狙い通りの寸法が出ないといった加工精度の悪化を招く恐れもあるでしょう。切りくずの処理も重要な課題です。スムーズに排出されない切りくずが工具に溶着したり、加工済みの面に接触して傷をつけたりするトラブルが発生しやすくなります。特にマグネシウム合金のような発火性の高い材料を加工する際には、高温になった切りくずによる火災のリスクも考慮しなくてはなりません。

ドライ切削を成功に導くためのポイント

工具の選定|耐熱性と耐摩耗性に優れたコーティング

ドライ切削を成功させるための重要な要素の一つが、工具の選定です。クーラントによる冷却の恩恵を受けられないドライ切削では、工具自身が800℃を超えるような高温に耐え得る性能を持たなければなりません。そのため、工具の母材には高い硬度と靭性を備えた超硬合金などが用いられ、さらに表面には特殊なコーティングが施されています。このコーティングは、高温下でも硬度が低下しにくい耐熱性や、酸化による劣化を防ぐ耐酸化性、そして潤滑作用を補うための潤滑性を備えている必要があります。窒化チタンアルミ(TiAlN)系のコーティングなどがその一例で、これらの高性能な工具を適切に選定することが、加工品質の安定と工具寿命の確保に繋がるのです。

加工条件の最適化と切りくずの排出

適切な工具を選んだ上で、次に重要となるのが加工条件の最適化です。ドライ切削における熱は、主に切りくずを通して加工エリアの外へ排出させるのが基本。この考えを実現するためには、切りくずがスムーズに生成され、速やかに排出されるような加工条件を見つけ出す必要があります。

例えば、送り速度や切込み量を調整して、切りくずが長く繋がらずに細かく分断されるようコントロールします。分断された切りくずは排出しやすくなるため、非常に効果的です。加えて、コンプレッサーからの圧縮空気を加工点に吹き付ける「エアブロー」の併用も有効な手段と言えるでしょう。これにより、切りくずを強制的に除去し、工具への巻き付きや再接触といったトラブルの発生を抑制できます。

MQL(セミドライ加工)という選択肢

完全なドライ切削の導入が、技術的なハードルや加工品質の要求から難しい場合も考えられます。そうした状況で有力な選択肢となるのが、MQL(Minimum Quantity Lubrication)、すなわちセミドライ加工です。これは、ごく微量の切削油を圧縮空気と共に霧状(ミスト)にして加工点に吹き付ける方法で、ドライ切削とウェット切削の中間的な位置づけとなります。使用する油剤の量は、ウェット切削と比較して極めて少なく、環境負荷を抑えながらも、その微量な油剤がもたらす潤滑効果と冷却効果によって工具寿命の延長や加工精度の向上が期待できます。ドライ切削の利点を活かしつつ、デメリットを補うことができる、バランスの取れた加工方法と言えるでしょう。

まとめ

ドライ切削は、コスト削減や環境負荷低減に貢献が期待できる加工方法です。しかし、工具寿命や加工精度の維持といった課題を克服するためには、工具選定や加工条件の最適化が重要となります。

自社の加工内容や設備に合わせて、ドライ切削のメリットを活かす方法を検討し、難しい場合はMQL(セミドライ加工)も視野に入れることで、より効率的でクリーンな生産体制の構築を目指せるでしょう。

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(https://www.moriyacl.co.jp/)
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※選定基準:2024年2月28日にGoogleにて「切削加工」「研削加工」と検索した際に表示される切削加工・研削加工に対応する会社123社を調査しました。(切削加工を依頼した際に、素材や精度により研削加工が必要になるケースもあることから、「研削加工」も含めて調査しています。)その中でも、ISO9001及びISO14001を取得する会社の中から、下記の基準でそれぞれ選定しています。
・守谷刃物研究所…難削材の加工に求められる切削加工・熱処理・研削加工を自社一貫で行う会社の中でも、難削材に対応した加工事例掲載が35件と最も多く(2024年3月調査時点)、難削材が使われやすい半導体製造装置や医療装置を得意としていると判断。
・キュリアス精機…ひと月あたりの生産可能個数が100万個以上と最も多く(2024年3月調査時点)、大量生産が求められる自動車部品の加工を得意としていると判断。
・プラスチック加工興和…樹脂の加工に対応する会社の中で、唯一樹脂の加工を専門とする会社と公式HPに記載されているため、プラスチック製品の加工を得意としていると判断。