ここでは、ツーリングの基本構成と、代表的なホルダ・シャンクの種類、および選定時のポイントについて解説します。
ツーリングとは、工作機械の主軸と切削工具を繋ぐアダプタや保持具の総称です。具体的には、以下のような役割を担います。
ツーリングが適切に選ばれていないと、たとえ工作機械や切削工具が高性能でも、加工精度や工具寿命が大きく損なわれてしまうため、とても重要な要素といえます。
切削工具やツールアダプタを保持する部分です。
ツールホルダを工作機械の主軸に取り付けるための柄(テーパー部分)です。
マシニングセンタなどの自動工具交換装置(ATC)では、主軸がツーリングを後方から引き込み、確実にクランプするためのボルトをプルスタッドと呼びます。
ツールホルダは切削工具を実際に締め付ける部分です。締め付け方式によって以下のように分類されます。
スリット入りのコレットを外周から締め付け、ストレートシャンクの工具を全周で保持します。取付精度が高く、高速軽切削に向きます。作業者の熟練を要する場合もあります。
内部のニードルベアリングの力で工具を強く締め付けます。剛性が高く、重切削にも対応しやすいです。
ホルダ内部の油圧で工具を固定します。取付が容易で、高精度加工(リーマなど)に適しています。
ホルダを加熱膨張させて工具を挿入し、冷却収縮で固定します。シンプルな構造で高い振れ精度・剛性・保持力を得やすいですが、専用の加熱装置と加熱・冷却の時間が必要です。
ツーリングのシャンクは、ツールホルダを工作機械の主軸に装着するための重要な接合部です。加工の精度や安定性、交換性に大きく関わるため、使用する機械や用途に応じて適切なシャンク規格を選定する必要があります。
BTシャンクは、日本で開発された7/24テーパを採用したシャンクで、BT30やBT40、BT50などのサイズがあります。テーパー部1か所で主軸と接触する一面拘束方式を採用しており、多くの立型マシニングセンタで標準的に使用されています。汎用性が高く、広く普及しているのが特徴です。
BBTシャンクは、BTシャンクをベースに改良されたもので、テーパー部とフランジ部の二面で主軸と接触する二面拘束方式を採用しています。これにより、工具の振れを抑え、高速かつ高精度な加工が可能になります。BBTの効果を最大限に発揮するには、BBT対応主軸との組み合わせが必要です。
HSKシャンクはドイツで開発された規格で、中空構造と1/10テーパを採用しています。BBTと同じく二面拘束方式でありながら、軽量で主軸との接触性に優れ、高速回転時でも高い精度を保てる点が特徴です。主に金型加工など、高精度を求められる現場で活用されています。
NTシャンク(ナショナルテーパ)は、汎用フライス盤などに使用される7/24テーパ規格のシャンクです。プルスタッドを使用せず、引きネジで主軸に固定する構造となっており、手動での工具交換を前提とした設計です。自動工具交換(ATC)には対応していません。
CAPTOシャンクは、欧州系の1/20テーパ規格で、主にターニングセンタや複合加工機のタレットに取り付けるクイックチェンジ用シャンクです。こちらも二面拘束方式を採用しており、高い剛性と精度を保ちながら段取り替えの迅速化を実現します。複数の機械間で工具を共用する際にも効果的です。
ツーリングを選定する際は、加工の内容や機械の仕様、作業効率、コスト面など、複数の観点から総合的に判断することが重要です。まず、加工の種類や精度要求に応じたホルダを選ぶ必要があります。重切削が必要な場合には剛性の高いホルダが適しており、高速回転を伴う加工では、バランス精度に優れたホルダが向いています。
次に、使用する工作機械の仕様を確認することも欠かせません。たとえば、主軸がBBT対応であればBBTシャンクを、金型加工のような高精度が求められる場合にはHSKシャンクを選ぶといった判断が必要です。ただし、シャンクの規格が工作機械と合っていなければ装着そのものができないため、必ず適合性を確認しなければなりません。
選定にあたっては、以下のようなポイントを総合的にチェックすることが推奨されます。
さらに、作業性や段取りのしやすさも無視できません。工具の交換頻度が高い現場では、交換が容易な油圧チャックが有利ですが、焼きばめチャックのように高精度な保持力を持つタイプは、加熱・冷却の工程が必要になるため、段取り時間への影響も考慮が必要です。
高価なツーリングが必ずしも最適とは限らないため、コストと性能のバランスを見極めて選定することが重要です。
ツーリングは、工作機械と切削工具を繋ぎ、高精度かつ安定した加工を支える重要な要素です。ツールホルダやシャンク規格の違いによって、保持力・振れ精度・作業性・コストなどが大きく変わります。
切削加工の成果を最大化するには、工作機械・切削工具・ツーリングを三位一体で考え、それぞれの特性を把握したうえで最適に組み合わせることが重要です。
切削加工を行う会社は多くありますが、いざ問い合わせると特定の要望に対応できなかったり、不良品がでてコストがかさんだりすることも…。 当サイトを読めば、もう断られない切削加工会社が1分で見つかります。
依頼者の事情や加工品によって異なる、様々な要望に応えてくれる切削加工会社を紹介します。
なお、ここで紹介する会社は、信頼できる加工会社を選ぶ際に大前提として押さえておきたい、下記2つの規格を保有する会社の中から選定しています。
・品質担保の観点から、国際的な品質マネジメント規格「ISO9001」
・信用性の観点から、国際的な環境マネジメント規格「ISO14001」



※選定基準:2024年2月28日にGoogleにて「切削加工」「研削加工」と検索した際に表示される切削加工・研削加工に対応する会社123社を調査しました。(切削加工を依頼した際に、素材や精度により研削加工が必要になるケースもあることから、「研削加工」も含めて調査しています。)その中でも、ISO9001及びISO14001を取得する会社の中から、下記の基準でそれぞれ選定しています。
・守谷刃物研究所…難削材の加工に求められる切削加工・熱処理・研削加工を自社一貫で行う会社の中でも、難削材に対応した加工事例掲載が35件と最も多く(2024年3月調査時点)、難削材が使われやすい半導体製造装置や医療装置を得意としていると判断。
・キュリアス精機…ひと月あたりの生産可能個数が100万個以上と最も多く(2024年3月調査時点)、大量生産が求められる自動車部品の加工を得意としていると判断。
・プラスチック加工興和…樹脂の加工に対応する会社の中で、唯一樹脂の加工を専門とする会社と公式HPに記載されているため、プラスチック製品の加工を得意としていると判断。