切削加工は万能ではありません。加工依頼や設計で後悔しないために、注意すべき「形状」が存在します。本記事ではその具体例と、なぜ難しいのか、どう対策すべきかを解説します。
切削加工は幅広い部品製造に用いられるものの、すべての形状に対応できるとは限りません。形状によっては高い技術力や設備が求められるため、事前に加工の難易度を見極めることが重要です。
ここでは、現場で「難しい」とされる代表的な形状をいくつか紹介します。
深さに対して直径が極端に小さい穴や溝は、工具のたわみや折損が起こりやすく、切りくずの排出にも苦労します。工具が奥まで届いても、切削抵抗が強まることで精度の確保が難しくなるケースも見られます。
医療機器や航空機部品に見られる自由曲面は、工具の動きを細かく制御する必要があります。単純な直線や円では対応できず、専用のCAMソフトや多軸加工機が必要になることも珍しくありません。
強度が弱い形状は、切削中にたわんだり変形したりする恐れがあります。とくにアルミやチタンなどの変形しやすい素材では、思わぬ寸法誤差が発生しやすく、加工後の品質に大きな影響を及ぼすことがあります。
外側から見えない場所にある突起やくぼみは、工具が直接アプローチできないため加工が難航します。このような形状には、専用工具や特殊な加工法が求められる場合もあります。
なぜ上記のような形状が切削加工を難しくしてしまうのでしょうか。要因を分解してみると、いくつかの共通点が浮かび上がってきます。
まず大きな要因となるのが、工具の到達性です。加工対象に対して工具がまっすぐ入らない、あるいは十分な動きのスペースが確保できない場合、正確な加工が難しくなります。干渉を避けながらの加工には、高度な設備や職人の技が欠かせません。
形状が複雑になるほど、ワークを正確に固定することが難しくなります。固定が不安定だと、切削中に振動が発生しやすく、表面粗さや精度に悪影響を及ぼす可能性があります。
細く長い形状や薄い構造は、切削時の熱や切削圧力によって簡単に変形してしまうことがあります。冷却や加工順序を工夫しなければ、設計通りの寸法を維持するのが困難になるでしょう。
細かい部分の加工に対応するために工具を細くすると、剛性が下がりやすくなります。一方で、剛性を優先して太めの工具を選ぶと、加工部位に届かないという問題が生じることも。このように、工具の選定には相反する要素が絡み合い、それが加工の難しさにつながっています。
形状が難しくても、あらかじめ適切な対策を講じることで、加工の成功率を高めることは可能です。以下に、主な対処法を紹介します。
一度に仕上げるのではなく、荒加工から段階的に進めることで、形状の変形を抑えながら精度を確保できます。とくに薄肉や深穴など、変形しやすい部分は最後に仕上げるなどの順序設定が効果的です。
加工部位や素材に合わせた専用工具の選択が重要です。例えばロングネックタイプのエンドミルや、高剛性・耐熱性に優れた超硬合金製の工具を使うことで、工具寿命や加工精度が向上します。
従来の3軸加工では困難な形状でも、5軸や同時制御の多軸加工機であれば柔軟な工具姿勢が可能になります。これにより、干渉の回避や加工時間の短縮、さらには精度の安定にもつながります。
切削シミュレーションを用いれば、工具の動きや干渉リスクを事前に把握することができます。プログラム上で問題点を洗い出しておけば、実際の加工現場でのトラブルも回避しやすくなります。
どうしても加工が難しい場合は、設計や素材の段階で工夫を加えることも視野に入れるべきです。例えば、極端に深い溝や複雑な内部構造は分割設計にしたり、板金や鋳造など別の加工法を検討するのも一つの手段です。
切削加工では、形状によって作業の難易度が大きく左右されます。特に深穴や三次元曲面、薄肉構造などは、工具の制限や変形リスクといった課題がつきまといます。
しかし、適切な加工順序の設定や工具選定、多軸機の活用、さらにCAD/CAMによる事前検証などを活用すれば、難しい形状にも対応できる可能性は十分にあります。設計・製造の両面から工夫を重ねることで、精度の高い製品づくりが実現できるでしょう。
切削加工を行う会社は多くありますが、いざ問い合わせると特定の要望に対応できなかったり、不良品がでてコストがかさんだりすることも…。 当サイトを読めば、もう断られない切削加工会社が1分で見つかります。
依頼者の事情や加工品によって異なる、様々な要望に応えてくれる切削加工会社を紹介します。
なお、ここで紹介する会社は、信頼できる加工会社を選ぶ際に大前提として押さえておきたい、下記2つの規格を保有する会社の中から選定しています。
・品質担保の観点から、国際的な品質マネジメント規格「ISO9001」
・信用性の観点から、国際的な環境マネジメント規格「ISO14001」



※選定基準:2024年2月28日にGoogleにて「切削加工」「研削加工」と検索した際に表示される切削加工・研削加工に対応する会社123社を調査しました。(切削加工を依頼した際に、素材や精度により研削加工が必要になるケースもあることから、「研削加工」も含めて調査しています。)その中でも、ISO9001及びISO14001を取得する会社の中から、下記の基準でそれぞれ選定しています。
・守谷刃物研究所…難削材の加工に求められる切削加工・熱処理・研削加工を自社一貫で行う会社の中でも、難削材に対応した加工事例掲載が35件と最も多く(2024年3月調査時点)、難削材が使われやすい半導体製造装置や医療装置を得意としていると判断。
・キュリアス精機…ひと月あたりの生産可能個数が100万個以上と最も多く(2024年3月調査時点)、大量生産が求められる自動車部品の加工を得意としていると判断。
・プラスチック加工興和…樹脂の加工に対応する会社の中で、唯一樹脂の加工を専門とする会社と公式HPに記載されているため、プラスチック製品の加工を得意としていると判断。